開業医や訪問看護師ら多くの職種が連携して在宅医療に取り組む小矢部市医師会の「メルヘン在宅あんしんネットワーク」がスタートして3年半がたった。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を見据え、訪問看護の充実、合同研修会の開催など、医療・介護関係者がスクラムを組み、地域に根差した質の高い在宅医療の体制づくりを進めている。 (小矢部支局長・近江龍一郎)

 2011年4月に創設した同ネットワークは開業医、訪問看護ステーション、薬局、居宅介護支援事業所、介護サービス事業者、訪問歯科診療所で構成する。互いの情報を共有し合うことで、患者の最新の状態を把握できる仕組みになっている。

 ネットワークの核になるのが内科系開業医による「主治医・副主治医制」だ。同医師会の12医療機関が参加。主治医1人、副主治医2人でグループを組み、患者の往診依頼に主治医が応えられない場合、副主治医が代わりに対応する。

 今のところ、副主治医が診断を代行するケースはまれだが、辻内科医院(同市津沢)の辻外幸院長(65)は「将来のために必要な制度」と言い切る。今後、高齢化が進む中、在宅医療に対するニーズの高まりが予想されるからだ。「休暇や学会に出掛けて不在にしていても、副主治医に患者を頼むことができる」と辻院長。代わりに診察してくれる医師が確保されることで、患者も安心できる。

 同医師会の訪問看護ステーションもサービスを拡充した。昨年9月、市社会福祉協議会から運営を引き継いだのを機に、24時間365日連絡体制となった。営業時間は従来通り午後5時半までだが、緊急時は夜間でも看護師に直接電話がつながる。新体制になって最初の1カ月は訪問者数が47人、訪問回数は202回だったが、1年後のことし9月は65人、315回と利用が広がっている。

 同医師会が特に力を入れるのが、在宅医療に関わる関係者を集めた合同事例検討会だ。13年度は5回開き、在宅療養者のリハビリ、薬局薬剤師との連携など幅広いテーマを扱った。普段顔を合わせることが少ない医師とケアマネジャーや薬剤師が直接意見交換できる貴重な機会となっている。

 同医師会事務局の酒井裕子さんは「顔が見える関係になり、相談しやすくなった。結果として地域医療の体制強化にもつながっている」と話している。

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