日本人の6人に1人は「酸触歯(さんしょくし)」と言われている。酸触歯は飲食物に含まれる酸によって歯の表面にある「エナメル質」が溶けてしまった状態のことで、歯全体が黄ばんで見えたり、歯がかけてしまったりと、見た目や歯の機能に影響を与える疾患。どうすれば予防・対策ができるのか、青山ホワイテリアの大谷珠美院長に伺った。

○虫歯や知覚過敏、歯周病の原因にも

歯の表面にあるエナメル質は、白く輝く歯に欠かせない成分。しかし、一度損なわれてしまうと元に戻すことはできない。そのエナメル質が溶けてしまった状態が酸触歯である。

歯の疾患はそれぞれ密接な関わりがある。酸触歯は「虫歯」の悪化や「知覚過敏」の原因にもなり、その結果、歯ぐきにも影響を与える「歯肉炎」や、骨などにも炎症が広がった「歯周炎」などという「歯周病」にもなりうる。しかし、酸触歯と虫歯とでは予防の仕方や対策が異なることもある。そこで今回、酸触歯の正しい予防・対策を教えていただいた。

酸性度の高い飲食物を知る

酸性度はpH(ピーエイチ)で表示されるが、エナメル質が溶け始めるのはpH5.5以下だと言われている。飲み物では炭酸飲料やアルコール飲料はpH5.5以下のものが多く、黒酢などの栄養ドリンクやかんきつ類、ドレッシング・調味料も下回っていることが多い。食べ物では、梅干しやピクルス、酢の物などがpHの低いものとして挙げられる。

しかし、これらは美容や身体の健康という観点では重要な役割を担っているものも多い。pHの低い飲食物を摂取した場合は、酸触歯対策を心がけるようにしたい。

食後すぐの歯磨きはNG

飲食物に含まれる酸は、歯の表面のエナメル質を柔らかくしてしまう。そこで歯磨きをしてしまうと、エナメル質を傷つけてしまう可能性がある。歯磨きは食後30分~1時間の間に行うのがベスト。酸触歯予防で言うと、直後に歯磨きをするよりは、水やお茶などで口をすすぐ程度の方が歯を痛めないで済むという。

エナメル質を保護する成分が入った歯磨き剤を選ぶ

酸触歯予防の観点で言うと、研磨剤が少なく、研磨剤の形状も丸に近いものを使用した歯磨き剤の方が、歯を削ってしまうリスクが少ない。また、フッ素などエナメル質を強化・保護する成分を配合したものを選びたい。ドラッグストアなどには、酸触歯予防を意識して開発された歯磨き剤もある。

歯を強くブラッシングするのはNG

力を入れてブラッシングすると、エナメル質を傷つけてしまう可能性がある。歯ブラシは45度の角度で当て、150~200gの軽い力(毛先が広がらない程度)で磨くようにする。また、”ゴシゴシ”と歯ブラシを動かすのではなく、5~10mmを目安に1~2歯ずつ磨くことを意識しながら、小刻みに動かすようにする。

歯磨き後は、完全に歯磨き剤を洗い流さない

歯磨きの後にしっかり口をゆすいでしまうと、歯磨き剤に含まれているフッ素などの有効成分まで洗い流されてしまう。理想的な歯磨きは2度磨き。1度目は歯についた汚れを落とすブラッシングで、2度目は歯磨き剤を歯に薄くコーティングする意識で、最後は軽くゆすぐようにする。

フッ素を配合したデンタルガムを使用する

唾液には酸性化した口内を中性化する働きがある。唾液の分泌を促すために、ガムを噛(か)むことは効果的だと言える。歯の再石灰化を促すフッ素を配合したガムも販売されているため、気軽にできる酸触歯予防として習慣付けるのもオススメだ。

(松永早弥香)

[マイナビニュース]

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