■初めての虫歯治療! まずは口に治療器具を入れられるか

 子どもが食品以外で口の中に入れるのは、スプーンやフォーク、歯ブラシなどが一般的でしょう。いくら虫歯になったからといえ、治療器具をいきなり口の中に入れることはかなりの恐怖を伴います。敏感な子どもの中には、ミラーなどの痛みのない器具ですら口の中に入れさせず、口の中を見るための光さえも口に入れまいと、口を硬く結んでしまうこともあります。こうなると治療どころが虫歯の確認すら困難です。

 低いようで高い壁が、まず器具を口の中に入れるということなのです。かなり敏感な場合を除き、一般的には少しづつ練習を繰り返して慣れさせることで、この段階はクリアできるようになります。焦らずにまずは慣らすことが大切です。

■第二段階は口の中での刺激を我慢できるようになること

 器具を口の中に入れることができるようになると、次に壁になるのが、見えない口の中で感じる刺激です。大人もそうかもしれませんが、子どもが恐怖を感じやすい刺激として、以下のものが挙げられます。

□虫歯治療中の音

 バキュームと呼ばれる吸引器は、吸引の際に比較的大きな音が出ます。さらに歯を切削する際に使用する器具も回転音がします。特に高い音でいかにも回転数が高いように感じられる切削器具なども同様です。口の中に大きな音が出るものを入れるということが恐怖につながります。

□独特の触覚

 歯を削る時、歯がわずかに押されるような感覚が起こります。また切削や乾燥などのために使用するエアーも、口の中で吹き付けると粘膜などにぶつかり、空気が粘膜に触れる感触が生まれます。自分の目で中の状態を確認することができない口の中は、どうしても刺激を敏感に感じやすくなります。

□虫歯治療中の振動

 歯を回転式の切削器具で削ると、どんなにわずかでも振動が歯に伝わります。さらに虫歯を指で持った器具などで除去する際にも歯が引っ掻かれるような振動を感じることがあります。歯に受ける振動は痛みにつながりそうで怖く感じてしまいます。

 これらの虫歯治療の感覚は、どれも子どもにとっては初めてで非常に怖く感じるものです。子どもにも説明をしながら、治療を進めることが大切です。

■第三段階は麻酔時の恐怖を乗り越えること

 子どもの虫歯治療で最後の大きな障害となるのが「麻酔治療」です。この歯科麻酔ができるようになると、虫歯を含め、乳歯の抜歯などほとんど全ての中の治療が普通に行なえるようになります。

 歯科で使用する麻酔針は、インフルエンザの予防接種や血液検査のための注射針に比べてかなり細い針です。さらに注射針と刺す前に表面麻酔という塗り薬の麻酔を塗布しているため、痛みは最小限に抑えられています。

 それでも麻酔する瞬間を自分で確認することができない、しかも普段は食事をするために利用している口の中に注射をしなければならないというそれまで経験したことのない感覚で、ほとんどの子どもは恐怖でいっぱいになってしまいます。表面麻酔を塗布していても神経を集中してしまうので、わずかな痛みでも敏感に反応し、痛みを感じやすくなってしまいがちです。

■個人差が大きい虫歯治療……大切なのは予防と早期発見!

 いずれにしても、小児の虫歯治療は個人差が大きいもの。初めてとは思えないぐらいあっけらかんと麻酔注射をクリアしてしまう小学校入園前の子どもがいると思えば、高学年になっても器具を口に入れる段階がクリアできない子どももいます。

 第二段階までクリアできれば、小さな虫歯であれば十分に治療することができます。第三段階の麻酔が苦手な子どもに関しては、いきなり大きな虫歯を麻酔して治すのではなく、小さな虫歯治療を行なっているうちに自然とできるようになるケースが多いようです。スムーズな虫歯治療を行なうためにも治療の際のトラウマを最小限に抑えられるよう、虫歯の早期発見・早期治療を行なっていくことが大切です。

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