障害者を専門に治療する県内唯一の公設公営歯科診療施設である静岡市障害者歯科保健センター(葵区)が、街の歯科医院の間に、障害への理解と診療技術を広める取り組みに力を入れている。センターが設けられた2005年以降、市内で障害者歯科登録医がいる施設は約110医院に拡大し、静岡型の歯科医療連携が動き出している。
 知的障害者や自閉症などの発達障害者の中には、口に異物を入れられることを嫌がったり、治療を怖がったりして、歯科受診や歯磨きを嫌う人がいる。センターの服部清医師は、治療を受けないままに「歯茎やあごの骨まで悪化して、口以外に病気が及ぶ患者もいる」と説明する。
 体を押さえて治療しようとすると激しく抵抗し、さらに歯科医が苦手になる恐れもある。
 センターでは患者を安心させるため、診療の手順を写真で説明するなど、診療に慣れてもらうための工夫を取り入れる。自閉症の10代の息子が受診する母親は「歯磨きも嫌がらないようになった。専門機関は本当にありがたい」と話す。センターには現在、年間延べ約2500人の患者が通う。
 ただ、センターが市内の全患者を診るのは不可能。市静岡歯科医師会と市清水歯科医師会が設けた障害者歯科の登録医制度を、歯科医向けの障害者歯科ガイドブックの作製や、年2回の研修会開催などを通じて、センターが後押しする。
 服部医師は「まず地域の歯科医が診察する環境作りが必要。将来は互いに患者を紹介できるネットワークにしたい」と話している。

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