インプラントは、世界で数百万人への治療実績をもっています。また、長期使用の点でもよい成績をあげてきました。インプラント発祥の地スウェーデンでは現在、600人に1人が経験しているほどです。これほど多くの実績を積んだ外科治療は、医科を含めてもまれでしょう。
一時期、日本ではセラミックス製が使用されていましたが、現在では純チタンが主流となりました。あるインプラントシステムの臨床応用10年経過後の統計では、単独のインプラントで成功率95%、ブリッジでは、それ以上の成功率を誇っています。また、40年以上にわたり臨床応用もされています。
とはいえ、残念なことですが、インプラントをめぐるトラブルが実際に起きているのもたしかです。
インプラントは、「成功か、失敗か」が早い段階ではっきりとわかる治療です。そのため「そこそこ結合して何年か使えた」という結果はありません。チタンとの結合は「最善か、無か」、このどちらかなのです。いわば、「歯科医師の腕ひとつ」といった面があります。
それでは、結合しなかった場合どうなるのでしょうか。失敗はあってはなりませんが、人間のすることですから、ベテランであってもありうるわけです。歯科医師は早期にその事実を把握し、患者さんに真実を説明し、ご了解いただいたうえで再治療をします。早期の見極めには、経験と力量が必要です。
ところで、穴を開けた歯槽骨がどうなるのか、きっとご心配でしょう。でも、大丈夫です。歯槽骨は数カ月でもとどおりに回復します。そのための時間はかかりますが、再治療を問題なく行うことができます。
また、本来丈夫なインプラントも、長期使用すると壊れてしまうことがあります。インプラント体のチタンは耐久性にすぐれた素材ですので壊れることはまれですが、上部構造(義歯)は、ふつうの義歯と同じく壊れてきます。こうした場合、上部構造のみを外して修理をします。パーツを交換するリペアです。
このように、再治療の余地が広いことは、インプラントの特徴です。お口の将来の変化にも、ブリッジを延長したり、総入れ歯をインプラントで固定して対応することもできます。また、代表的なインプラントシステムは世界中で使われていますから、海外であろうが容易に修理あるいは治療を受けられます。
実は、インプラントにかかる力を分散させてコントロールすれば、インプラント自体が折れるトラブルはまず起こりません。適切な義歯製作、マウスピースによる歯ぎしりのダメージ防止、メインテナンスによる噛み合わせチェックなどでトラブルを予防できます。
現在は、インプラント体の表面加工が著しく改良されて骨との結合が容易になりました。さらに今後は、CT画像解析によるインプラント手術のシュミレーションソフトにより、技術者による治療の優劣が解消され、治療の均質化が進むはずです。
しかし、繊細な生体組織への細かい配慮は、昔もいまも変わらず必要とされるものです。インプラント体の種類はいろいろあっても、生体の仕組みはひとつです。歯科医師はつねに治療の基本を大切にすることを忘れてはならないのです。

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